虎のタイソン

6  デリック・ホワイト

今年のタイガースを象徴する選手の一人で
あることは誰もが認めるところ。
2月のキャンプの時にテスト入団。
入団当時、4番を打つとは誰が想像していただろう。
それどころか1軍レギュラーの座すら無理かな?と
思っていたほど。
その容姿からかの悪名高きマイクタイソンになぞらえて
「虎のタイソン」と呼ばれる。
本人はこの呼び名にはやや不満。(誰だって嫌かも。。。)
しかしホワイトは本当に優しい(笑)
サイン色紙を持っている子供を見つけて
自分からサインしにいったものの
「赤星さんのが欲しい」と断られ、シュンとしたことも
あったというエピソードがあるほど。ナイスガイです。

メジャー通算成績:76試合116打数21安打3本塁打8打点2
打率
.181
2001年メキシカンリーグで活躍
114試合430打数127安打13本塁打67打点、打率.295
ぷろふぃ〜る

1969年10月12日生まれの32歳。米国出身。
オクラホマ大からエクスポズ−
タイガース−カブス−ロッキーズー1999年アイオワ・カブス(AAA)、2000年ロッテ・ジャイアンツ(韓国)、2001年セントポール・セインツ(独立ノーザンリーグ)、モントレー・サルタンズ、ラレド・オウルス(メキシカンリーグ)、ウインターリーグはマサラントン(メキシコ)
を経て今季から阪神へ。

右投右打。185センチ、102キロ。
色んな所を渡り歩いている苦労人としても
知られています。
契約金1000万円、年俸2000万円、1年契約。
応援歌
勝利の一撃
見せてくれ猛虎のヒーローホワイト ホワイト


入団時のエピソード

阪神・星野仙一監督が高知・安芸キャンプの2月17日入団テストに訪れたデリック・ホワイト外野手に“及第点”を与えた。
あのマイク・タイソンに生き写しで、すでに「顔は合格」。
オレ流調整の助っ投や外野陣の刺激剤に、任務は重い。20日にも合否が決まるが、本家顔負けの『暴走』に期待は高まる。


これは怖い。あのバースを超える最強の助っ人?が安芸に現れた。

「田淵と和田とオマリーが評価を下す。顔は合格やな。怖い?何を言うとるんや。かわいい味のある顔やないか」
褐色の肌にスキンヘッド。鋭い眼光でギョロリと見渡す男を「かわいい」と言ってのける仙さんもスゴイ。
猛虎復活のカギを握るテスト生、それがホワイトだ。


「よくマイク・タイソンに間違われますが、そうではありません」

“つかみ”は、OKだった。
朝の体操で恒例の声出しの前にあいさつ。
誰もが思っていることをサラリと言ってのけた。
笑いのコツをわきまえた自己紹介に、選手もスタッフも大爆笑だった。
安芸市営球場では、雨の中でフリー打撃。90スイング中、サク越えは4本。
数は物足りないが、左右にライナーを打ち分けるシュアな打撃だ。
「長旅で寝不足だった。球場にファンが多いので、ビックリしたよ」
外見に似合わず、恥ずかしがり屋の様子。普通なら「大丈夫?」と言いたくなるが、シャイな虎のタイソンは重大な任務を帯びている。


「面白い存在だな。あとは外国人選手や外野陣がどう思うかやな」

この日もカーライル、ムーア、バルデスの3人はノースロー。エンジン全開の兆しも見えない。
現在のところ、今季の助っ人は「投手3、野手1」だが、ホワイトが入団すれば一転、激戦必至。「2枠」を巡る血みどろの争いになる。
また、浜中、赤星、桧山、坪井らがひしめく外野も一緒。若虎たちに与える仙流のカンフル剤には、もってこいの存在だ。
本家本元はリングで相手の耳を噛み、私生活では事件の連続。
こちら“トラのタイソン”は、ダイヤモンドという名のリングで旋風を巻き起こす。


運命の入団テスト

ホワイトの入団決定は、即戦力は幾らでも欲しい事情からして“採用して損はない”と判断したのだろう。
実際、2打席のうち、第1打席に星野から奪った四球の内容はよかった。
緩急の攻めに対しても重心を軸足に残しているから前のめりがない。これは変化球の対応に大切なファクターだ。
2打席目の右前打は、つまり気味だったが、これもバットが遅れ気味に出るためで、
強引に引っ張るだけのタイプや、ウェートが早く前にかかるタイプよりはいい。

テスト中のフリー打撃を見ると、ストレート系に対して左中間から左翼にライナー性の打球が飛ぶ。
半面、変化球にはタイミングが合わず、ボールの上を叩いて平凡なゴロになるケースが目立った。
従って、変化球にどの程度対応できるかは、さらに実戦を見る必要がある。

投手側から見て、甘い高めは一発もっていかれる怖さを感じるが、ホワイトの加入はアリアスを刺激する効果も考えられる。
アリアスが不振の場合は“スペア”としても期待される。

度肝を抜くアーチをかけたわけでも、痛烈な打球を飛ばしたわけでもない。合否の決め手は1つの“四球”だった。
バットを振らなかったことで、ホワイトが合格切符を手に入れた。

「(カウント)2−3からも、その前からそう。ノブ(星野)のみんな(の体)が前に出る変化球に止まっただろ」

星野監督が強調したその一瞬は、いきなりの第1打席にやってきた。
二回、一死無走者。マウンド上には技巧派左腕の星野がいた。初球のカーブ(ボール)を難なく見送った。
カウント2−3に追い込まれてからの7球目。ワンバウンドになった低めのカーブに引っかかることなく、四球を選んだ。
第2打席に横田から放った右前打は、“おまけ”でしかなかった。

「自分の打撃に集中していた。ボールを見て、強く叩くことしか考えてなかった。
アベレージを残せる打撃をする。もちろん、ホームランも打てると思う。チームの勝ちに貢献したい」

ほんの10分前に合格の知らせを耳にしたばかりのホワイトは、照れながらインタビューを受けた。

なんと、広沢からもらったマスコットバットで打席に立っていた。
「あれを試合で使うとはね。よう振るわ」と元の持ち主もあきれていた。34・5インチ(87・67センチ)の“長尺”。
しかも重さは1キロ近い真紅のバットで、初めて対する日本人投手の変化球に対応した。

「マイク・タイソン? ボクはそんなに似ているとは思ってないんだけど。チームが勝ち続けているときは、そう呼んでもらってもいいよ」

正式契約は後日になるが、虎のタイソンがついに誕生。ビザを取得すれば、
秘めたるパンチとともにオープン戦でもそのテクニックをアピールする。


練習以上に“実戦派”であるところを見せたつけたホワイトに、田淵チーフ打撃コーチの評価も前日から急転。

 「化けそうな感じがするな。(外国人としては)珍しくうまいわ
嫌がられる打者。4番タイプじゃないが、四球が選べる。これで外野の一角がまた増えた」
右の外野手の加入で、浜中もうかうかしていられない。“相乗効果”も期待できそうだ。


バット1本あればとこでも行く
そんなハングリーで前向きな態度が
チーム全体にいい雰囲気を与えています。
今後は6番あたりの打順で対戦相手の投手に
プレッシャーを与える存在になってもらえたら。。。(笑)

猛虎選手名鑑第1回「デリック・ホワイト」